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CASE STUDY

事例紹介

企業の“セカンドチーム”として
貢献するために

〜二人三脚で進めた「ワタミの宅食」
データ分析〜

多くの企業がデータ分析の必要性を感じている今。
データ分析を成功させるためには、どのようなポイントや課題があるのでしょうか? 
今回はワタミの宅食事業を推進するワタミ株式会社のお弁当事業責任者・金尾和輝さんと、データブリッジ株式会社(以下DB)代表取締役の瀧山孝平に、宅食事業におけるデータ分析を具体例に挙げながら、成功のポイントやデータを活用したビジネスのあるべき姿についてお伺いしました。

前例のない事業の現場を調査、
適切なKPIを設定

まずは、
ワタミの宅食について教えてください。

金尾

高齢者向けに日替わりのお弁当を届ける宅食サービスで、「まごころスタッフ」というスタッフが決まった時間に一軒一軒、手渡しでお届けしています。「まごころスタッフ」は60〜65歳くらいのリタイア層で、もう一度地域に貢献したいという気持ちを持った方々を採用しています。サービスが発足した2008年当時は、お弁当を高齢者に手渡しでお届けするサービスは非常に画期的なものでした。

DBとの協業の経緯を教えてください。

金尾

2015年頃、宅食事業の成長が伸び悩み、広告宣伝費と売上の関連性に課題感を抱き始めました。そこで、広告をどれだけ打てば最適解になるかを分析する必要があると考え、2018年からDBさんと協業を始めました。

瀧山

協業のお話をいただいた際、まずはワタミさんの宅食事業を知るところからスタートしました。事業のお話を詳しく伺うのはもちろん、実際に商品のお弁当を食べてみたり、複数の営業所を回って「まごころスタッフ」に同行し、実地調査も行いました。というのも、宅食事業は当時としては新しい事業で、参考にできる前例がまったくと言っていいほどなかったんです。
プロジェクト開始時、一番の焦点はLTV(Life Time Value)でした。例えば、「顧客Aにこの先の生涯でどれだけ継続してお弁当を購入していただけるか?」という数値を算出します。広告を打ってどれだけ投資回収できるかを知るために、顧客の累計購入金額の平均を導き出したのが最初の取り組みでした。

金尾

それから、「今後、どのような指標を目指すべきか?」というKPIを決めていきました。宅食事業はニッチな業界で既存のテンプレートが存在しないため、KPIの設定にはしっかり時間をかけましたね。

瀧山

ワタミさんの過去の広告と、それに起因する新規顧客の増加数や継続利用者数の変化を分析し、費用対効果を精緻化し、予算をコントロールできるようにしていきました。売上に影響している要因を整理することで、広告出稿に関する判断基準を決めていきました。

金尾

宅食事業のような特殊な継続ビジネスでは、広告を打ったらすぐに効果が出るわけではありません。つまり、投資回収に時間がかかるわけです。それまでは広告施策の良し悪しを長期的な視点で判断することができていなかったので、過去の膨大なデータをもとに効果検証をしてもらいました。

具体的には、どのような体制でプロジェクトを進めたのでしょうか?

瀧山

プロジェクトの初期は週に一回、ワタミさんから膨大な販売データをいただき、それを集計、分析していち早く結果を返していました。同時に、今週はこの地区でこういう折り込みチラシを撒いた、テレビCMを打ったなど、細かな施策の情報もいただき、それぞれの効果を見ていきました。

金尾

濃密にやりとりしていた時期には、毎週開催するチームのミーティングにDBの担当者2名に参加してもらいました。本当にチーム内のことをすべて把握してくれて、週末の過ごし方の話までしていたほどです(笑)。 隅々まで当社のことを把握してもらえたので、認識合わせが非常にスムーズでしたね。こちらの意図をきちんと理解してくれるので、「こういう意図であれば、前と同じ分析よりも別の要素を加味した分析の方が良いのでは」と、一歩進んだところまで考えてくれる。これはすごく助かりましたね。

瀧山

我々としても、「ここのデータだけ分析お願いします」という部分的な依頼が多い中で、ワタミさんには宅食事業全体の分析を一任していただけたので、情報を包括的に見ながら探っていけました。

DBの強みは、
職人気質な泥臭さと距離の近さ

今回の協業で得られた成果を教えてください。

金尾

個人的には、やはりLTVを明確にしてもらったことが非常に大きかったです。実は、DBさんと協業した2018年以降、広告にかける予算は年々増加しています。予算をかけてもきちんとリターンが返ってくることを、分析結果をもとに社内に証明できるようになったためです。経営陣にとって最も知りたかったポイントを可視化することで、恒常的に施策を打てるようになりました。
また、データを分析し、「ダイレクトメールは10回以上送っても意味がない」という結果を導いてくれたこともありました。それまではダイレクトメールを乱発していたので、コストカットできたことは大きかったです。それから、長期にわたって続けていたポイントカードの施策について、本当に効果があるのかを分析してもらったこともあります。

瀧山

折り込みチラシのクリエイティブについて、エリアごとに分析したこともありましたよね。地域ごとの特性を分析し、例えば、九州は健康志向を打ち出すべきといったアウトプットの出し分けに繋げていきました。

金尾

その時は過去何年分ものチラシを引っ張り出してきて、100種類くらいあるクリエイティブをみんなで評価・検証し、ああでもない、こうでもないと議論しながら進めましたね。

DBの強みは何でしょうか?

金尾

DBの社員はみなさん職人気質な方たちで、本当に細やかに対応してくれています。我々からすると「そこまでやるの?」と思うくらい、とことん精緻にやってくれるので、安心して任せられますね。

瀧山

ワタミさんの場合、売上に関するデータと、広告出稿データ(出稿媒体、クリエイティブなど)は別の形式です。その2つのデータをクレンジングして紐づけるという、地味ながら非常に重要な作業も請け負っています。この作業に間違いがあると、広告の評価そのものを誤ってしまう。ちょっとした誤差が大きな誤算に繋がりかねませんから、責任感を持って取り組んでいます。

金尾

それから、データ分析の会社を検討するにあたって私が重視したのは距離の近さです。すぐ隣にいて、同じ画面を見ながら話ができる会社を探しました。そうでないと、事業の本質のところが肌感としてわからないと考えたんです。ビジネスをうまく進めていくためには、上下関係ではなくパートナーという形で、二人三脚でやれる会社との巡り合いが不可欠だと思います。こちらが指示したことをやるだけなら、どの会社にお願いしても同じですしね。そういうセカンドチーム的なポジションを求める企業はたくさん存在するんじゃないでしょうか。

瀧山

例えば、個人もデータの積み重ねでできていると思うんです。さまざまな過去の経験の積み重ねで、次の選択をとる。企業も同じです。ただ、企業の場合、データの量が多すぎて人間の頭では考えられないから、次の選択をするために我々の仕事が存在する。そういう時にはやっぱり、信頼して任せられる人を選びたいじゃないですか。だから、お客様の背景を知り抜いて、同じ目線で向き合うことを大事にしています。我々の出した分析結果で事業が好転すればやりがいを感じますし、逆に成果が上がらなければ理由を一緒に考える。我々が人ごとのように言われたことだけをやってたら、相手も不安になりますから。

金尾

距離が近ければ対応スピードも上がります。例えば、本来であれば正しく分析するのに2〜3ヶ月かかるデータを、経営陣から来週結果を出してほしいと言われるケースもあるわけです。スピード感を持って、かつ正確にジャッジしてもらう必要が出てくる。そういう時にこちらのことをよく分かってくれている相手となら、連携がスムーズで助かります。

瀧山

スピード感は我々のひとつの強みだと思っています。意思決定が早いと、事業の成長スピードも速くなりますから。経営陣になればなるほど、小難しい数字よりもシンプルな結果を求める傾向にあります。結果に行き着くまでの試行錯誤はきちんとあった上で、シンプルなアウトプットにまとめなくてはいけないと考えています。

金尾

それから、当社の事業に対して、データ分析という枠を超えて第三者的な意見をもらえるのがありがたかったです。客観的な評価は内部の人間だけだと案外掴めないことも多くて。当時はDBさんにプロジェクトを客観的に見てもらい、アドバイスを求める場面も多々ありました。

変化が加速する時代のデータ活用とは?

ワタミさんの今後の展望をお聞かせください。

金尾

宅食事業は高齢化社会にますます対応していかなくてはなりませんし、競合も増えてきた中で、今までと同じやり方でいいのか、新たなお客様層をどのように獲得していくかなど、考慮すべき変化がたくさんあります。コロナを機に、その変化のスピードはますます加速している印象があります。時代のスピードに素早く対応することが求められるので、今後は今の延長線上というより、もっとダイナミックに変革していくべきだと感じています。その時に、自分たちの選択は正しいのかという漠然とした不安は必ずついてくるので、DBさんにはデータ分析の視点からアドバイスをもらっていきたいですね。

瀧山

データ分析の結果から、宅食事業の新モデルが生まれる可能性もありますよね。これからのワタミさんの挑戦に対しても、データ分析の観点からお手伝いできることはあると思っています。

金尾

当社はお弁当を高齢者に届けるサービスですが、これからはもっと高齢者の「健康」という側面に寄り添っていきたいと考えています。例えば、顧客データのプロファイリングみたいなことができれば、それを活用して一人ひとりの健康に配慮した新たなサービスができるかもしれませんね。

瀧山

ワタミさんが持っている、何十万人もの高齢者に直接アプローチできるネットワークは大きな財産だと思います。そのチャネルを活用すれば、お弁当以外のサービスもできそうですよね。宅食事業で蓄積した情報資産を二次利用できれば、事業拡大にも繋がります。一方で、規模が拡大すればするほど顧客のニーズは多様化するので、そこへの対応が新たな課題になってくるでしょう。何十万人が同時に満足するものを提供することは難しくても、その最大公約数を見つけるのはデータ分析が力になれる領域だと思います。

最後に、DBの今後の展望をお聞かせください。

瀧山

よく、データ分析は探索的と言われます。マーケティングというのはゴールの目指し方が色々あって、正解はひとつではない。競合などの外部の要因でも変わってきますしね。ゴールに対するデータ分析は現状のアプローチを維持するのではなく、データサイエンスを用いるなど、常により良い方法を考えて精度を上げていかなくてはなりません。そういった、どう行動すればより相手に貢献できるかという視点は、これからの変化の時代にますます求められると感じています。だからこそ、企業のセカンドチームとして深く関わり、企業の考えをどこよりも理解する会社としてあり続けたいと考えています。

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